物理情報工学科授業紹介

自己紹介と概略

はじめまして,慶應義塾大学理工学部物理情報工学科B2(執筆時)のharry_arbrebleu(青木 陽)と申します.普段は物理の勉強をしたり,カメラを片手にお散歩したりしてます.機会があれば,自己紹介記事を書いてみるかもしれません.さて,今回は,自分が所属する物理情報工学科の紹介をしてみます.まず,この学科の成り立ちを紹介したあと,物理情報工学科の研究室について紹介します.最後に2023年度春学期に履修した授業について紹介します.この記事は継続的に内容を更新する予定で,更新をするたびに僕の$\mathbb{X}$で通知します.

物理情報工学科紹介

まず,物理情報工学科について,学科のwebサイトに乗っていないことを含めながら紹介します. この学科の名前についてですが,「物理情報」とついているからと言って,物理も情報もできる学科ではありません. これは歴史を紐解く必要があります.文献1によれば福澤諭吉先生がのちに慶應義塾となる蘭学塾を作ったのが1858年, そこから81年後に理工学部の前身となる藤原工業大学ができたのが1939年です.そのときには機械工学科,電子工学科,応用化学科のみでした. 1944年には藤原工業大学が慶應義塾大学工学部になり,1959年には計測工学科ができました.お気づきかもしれませんが,計測工学科が後の物理情報工学科となります. その後も様々改組が行われ,2002年に生命情報学科が設置されて現在の11学科となりました. 以下に学科の設置年をまとめます.

設置年 学科名
1939年 機械工学科
電気工学科(電気情報工学科)
応用化学科
1959年 計測工学科(物理情報工学科)
1974年 数理工学科(数理科学科)
1981年 物理学科
化学科
1996年 システムデザイン工学科
情報工学
2002年 生命情報学科

さて,この並びをどこかでみたことがありませんか? 履修案内やシラバスでなんでこんな変な並びになっているか気づいたことがありますか? 下に2023年度理工学部履修案内の目次2を示します.

学科の順列

そうです.あの並び順は学科ができた順なんです!! さて,話を元に戻しましょう. 物理情報工学科の前身は計測工学科でしたね.さて,このことが物理情報工学科のカリキュラムに大きな影響を及ぼしています. 物理や情報と聞いて,思い浮かべる単語は電磁気や力学,コンピュータやAIだと思います.誰も電子回路だったり生体医工学を想像しないでしょう. そしてそれが必修科目になっているのです! 物理情報工学科の名前にだまされてはいけない,これは新B2の方やこの記事を読んで学科分けエントリーをしようとしているB1の方々に注意して頂きたいことです. 以下では授業内容の詳細に入る前に,物理情報工学科で2年生の授業を受けもつ先生方の研究室を簡単に紹介します.研究室のHPに乗っている内容や私が直接聞いた話を元に,学部1年の学生がなんとなくイメージできるように250文字以内でまとめます. あくまで,学部2年の若造が勝手に理解した範囲での研究紹介ですので,話半分程度に聞いておいてください. もし気になった研究室があれば,先生のプロフィールサイトを載せておくので,メールを送って研究室見学をお願いしても良いと思います.僕も何個か訪問しました. 物理情報工学科の先生方はいい人ばかりですので,親切なお返事がいただけますよ.

量子系

石榑研

名前 石榑崇明教授
研究室HP 石榑研
2年担当授業 春学期: 電磁気学同演習(H組,I組前半)
詳細情報 教員プロフィール

この研究室では,従来のコンピュータで電圧の高低に基づくの0と1によって制御していた部分を光の信号に置き換えるためのデバイス作成を行っています. 従来のコンピュータが動作中に発熱するのは電気抵抗によるものですが,それを光に置き換えることで,エネルギーロスを減らし,高速な動作を行えるようになることが期待されています. 電気で言えば導線にあたる部分を,光導波路といい,光導波路での回路設計に関してモスキート法と呼ばれる技術を開発したり,また,光導波路そのものの作成を行ったりしています.巨人ファンです.
(以上247文字)

山本研

名前 山本直樹教授
研究室HP 山本研
2年担当授業 春学期: 物理情報数学A
秋学期: 応用確率論
詳細情報 教員プロフィール

この研究室では,従来のコンピュータとは一線を画する量子コンピュータに関する理論的研究を行っています.現在使われている量子コンピュータは,古典コンピュータのようにプログラミング言語を用いて演算を行う回路を簡単に決めることができます.しかし,量子コンピュータでは,いまだに簡単に計算機を制御する方法が確立されておらず,どの素子を用いるか人間が決定する必要があります.その回路がなるべく効率よく動作するようなアルゴリズムを古典コンピュータの機械学習を用いて研究しています.靴がおしゃれです.
(以上242文字)

早瀬研

名前 早瀬潤子教授
研究室HP 早瀬研
2年担当授業 秋学期: 応用電磁気学同演習
詳細情報 教員プロフィール

この研究室では,古典的な振る舞いとは異なる電子や光子について研究を行っています.従来の技術では検出が困難な物理量を,ダイヤモンドに窒素がドープされた物質を用いることで測定ができたり,周波数の加算が起こる特殊な条件の光を用いることで,量子コンピュータのメモリが作成できたりします.このような非古典的な振る舞いが起こる物質を設計したり,その物理的性質を研究したりしています.面倒見がとてもよく,やる気のある学生に対して発展的なことを色々と教えて頂けたり,外部団体の有益な情報を流して頂けたりします.
(以上247文字)

牧研

名前 牧英之教授
研究室HP 牧研
2年担当授業 秋学期: 量子力学入門(I組後半,J組)
詳細情報 教員プロフィール

この研究室では,カーボンナノチューブグラフェンについて研究を行っています.カーボンナノチューブはシート状のグラフェンを円筒状にしたものですが,この中では電子は特異な振る舞いをします.具体的には,1次元空間とみなせるため,3次元空間での振る舞いとは異なります.このような低次元空間での電子の振る舞いが変わるということはつまり,物質の性質自体が変更されることを意味しています.研究室では,微細加工技術を用いてカーボンナノチューブグラフェンで作られたデバイスを作成して,その性能を評価しています.
(以上247文字)

海住研

名前 海住英生教授
研究室HP 海住研
2年担当授業 春学期: 電磁気学同演習(I組後半,J組)
詳細情報 教員プロフィール

この研究室では,磁場中での物質の性質について研究しています.ある種の物質では量子力学のトンネル効果によって電流が流れ,抵抗が存在することが知られていました.この研究室では世界で初めてこの物質がキャパシタンスを持ち,それが外部磁場によって変わることを発見しました.また,ナノスケールの分子の作成において従来の方法よりも格段に優れる技術を提案しています.このような物質と磁場との関係を実験的アプローチと計算機的アプローチを組み合わせて研究しています.学生でも特許を取ったりできます.阪神ファンです.
(以上247文字)

太田研

名前 太田泰友准教授
研究室HP 太田研
2年担当授業 秋学期: 物性物理基礎
詳細情報 教員プロフィール

この研究室では,光に関連した物質の性質について研究しています.現在の技術では,光の量子性を保ったまま回路を作ることが困難です.彼らは,既存の半導体の加工技術や集積化技術を応用して回路の作成を試みています.また,数学におけるトポロジーの考えを物理に輸入して生まれたトポロジカル物理をさらに推し進めてトポロジカル物理と,光に対して特徴的な性質をもつナノフォトニック結晶を用いて,世界初の半導体トポロジカルナノ共振器レーザーを実現しています.
以上(235文字)

物性系

的場 & 神原研

名前 的場正憲教授
神原陽一教授
研究室HP 的場 & 神原研
2年担当授業 秋学期: 量子力学入門
詳細情報 的場正憲教授: 教員プロフィール
神原陽一教授: 教員プロフィール

この研究室,謎が多いです.なぜ,この研究室だけ教授が2人で共同運営をしているのか?HPは定期的に更新されているが,研究は何をやっているのかわからなかったり,この学科で1番読みにくいwebサイトだったり...神原さんは世界で初めて鉄系超電導を発見した人です.2008年の"Science"誌の世界科学ニューストップ10に選ばれてたり,その年の論文被引用数が1位だったりします.僕の好きな教授です.的場さんは...ナニモワカリマセン.
以上(215文字)

藤谷研

名前 藤谷洋平教授
研究室HP N/A
2年担当授業 秋学期: 分布系の数理
詳細情報 教員プロフィール

この研究室も謎が多いです.HPがありません.研究内容が分からないので,渡辺さんの授業資料3から引用します.

藤⾕先⽣の専⾨は臨界点近傍の流体の理論解析です。⼆種類の流体を混ぜて温度を上げると、2つの流体が混ざる状態と分離する状態のちょうど中間の状態を作り上げることができます。この状態では、通常の流体とは異なる性質を⽰します。この流体を解析するのが藤⾕先⽣の研究分野です。

藤谷さんの異色さはその経歴からもにじみ出ています.下表にまとめます.

出来ごと
1985年 東京大学医学部卒業
医師免許取得
1989年 医学博士
1995年 博士(理学)

よくわかりません.関西弁でしゃべります.
(以上240文字)

渡辺研

名前 渡辺宙志准教授
研究室HP 渡辺研
2年担当授業 秋学期: プログラミング基礎同演習
詳細情報 教員プロフィール

この研究室ではスーパーコンピューターを使った計算物理の研究を行っています.現代の船ではスクリューが回転するときに泡が発生することが問題になっています.なぜならば,その泡がはじけるときに瞬間的に大きな力がスクリューに加わり傷つけるからです.そこで,発生する空気分子の動きを分子動力学法を用いて計算を行っています.このようなアプローチをエレガントな解法と比較してエレファントな解法と呼ぶそうです.僕は教員の人間性がとても好きで,その一端を彼の$\mathbb{X}$で覗き見ることができます.フォロー必須です.
(以上243文字)

野村研

名前 野村悠祐准教授
研究室HP 野村研
2年担当授業 秋学期: 熱物理
詳細情報 教員プロフィール

この研究室では,量子力学的状態が現れる状態について,例えばフラーレン超伝導性を示す状態について,スーパーコンピューターを用いた解析や,また,ニューラルネットワークを活用した研究を行っています.ゴリゴリの理論系の研究室です.
(以上112文字)

制御系

あまり興味が無くて詳しく調べていません. 簡単な紹介で済ませます.

田中(敏)研

名前 田中敏幸教授
研究室HP 田中(敏)研
2年担当授業 秋学期: 電子回路同演習
詳細情報 教員プロフィール

医療計測などを行っています.理工学メディアセンター長です.

松本研

名前 松本佳宣教授
研究室HP 松本研
2年担当授業 春学期: 電気回路同演習
秋学期: 計測工学
詳細情報 教員プロフィール

2024年度の履修案内に依れば,新たに物情の学科主任になりました.IoT関係の計測システムに関する研究を行っています.HPが更新されていません.

内山研

名前 内山孝憲教授
研究室HP 内山研
2年担当授業 春学期: 物理情報数学Bデジタル基礎
詳細情報 教員プロフィール

人体の動きに関する計測技術について研究しています.

塚田研

名前 塚田孝祐教授
研究室HP 塚田研
2年担当授業 春学期: 電気回路同演習
詳細情報 教員プロフィール

生体細胞に関する研究を行っています.塚田さんは博士(医学)を持っています.

井上研

名前 井上正樹准教授
研究室HP 井上研
2年担当授業 秋学期: 物理情報数学C
詳細情報 教員プロフィール

飲み会の様子やお酒紹介がある,楽しそうな研究室です.フィードバック制御について研究しています.

堀研

名前 堀豊准教授
研究室HP 堀研
2年担当授業 春学期: 物理情報数学B
詳細情報 教員プロフィール

遺伝子回路の制御をやっているようです.

履修上の注意

次のセクションからいよいよ授業紹介に入りますが,その前に注意点をいくつか述べます. まず,当たり前のことですが,授業には専門基礎科目必修専門基礎科目選択があります. 以下ではそれぞれ,「必修」,「選択必修」と呼びます.さて,晴れて2年生に進級した方々が3年生に進級する条件を確認してみましょう. 履修案内を参考にまとめてみました.

科目種別 必要単位数 具体的な科目
総合教育科目
(いわゆる般教)
8単位 -
外国語科目
(いわゆる英語と2外)
12単位 (第2外国語の選択をフランス語の場合を例として)
フランス語1
フランス語2
フランス語3
フランス語4
英語1
英語2
英語3
英語4
の8科目の中から6科目
基礎教育科目
(いわゆる1年必修)
28単位 全て
専門基礎科目
(いわゆる2年必修と2年選択必修)
20単位 電気回路同演習
電磁気学同演習
物理情報数学A
物理情報数学B
理工学基礎実験
電子回路同演習
熱物理
物理情報数学C
プログラミング基礎同演習
量子力学入門
の10科目の中から理工学基礎実験を含めて6科目以上
かつ
オプティクス
デジタル基礎
応用確率論
応用電磁気学同演習
計測工学
生体計測4
物性物理基礎
分布系の数理
をも含めた,全ての専門基礎科目14科目のうち10科目以上

ここで注意しなければいけないのが,選択必修は必修に加えて4つ取らなければいけないという意味ではないということです(後に4つ取らなければいけないことを説明しますが,3年進級には必要ないということを注意しておきます).極端な話,必修だけを履修して,全ての単位を取れれば,3年進級ができます.

さて,4年進級条件も確認しておきましょうか. 参考にしたのは矢上理工の履修案内5です.

科目種別 必要単位数 具体的な科目
総合教育科目 10単位 -
外国語科目 16単位 1・2年の英語と第2外国語全て
基礎教育科目 28単位 全て
専門基礎科目 28単位
(必修20単位を含む)
-
学科専門科目 25単位 -

これからも分かるように,4年進級には2年必修をすべて合格して,かつ,2年の選択必修を4つ以上合格しなければいけません.また,科目によっては2年の選択必修と3年の必修や選択必修が同一時限に開講されていることもあります.この場合,3年の必修の履修取り消しを行わなければいけないなど,非常に面倒かつ,留年のリスクが上がりますので,注意しましょう.なお,2年の必修と3年の必修は重複していないことが知られています(筆者調べ).

授業各論(春学期)

さて,いよいよ春学期の授業を紹介します! なお,単に「前半」,「後半」と言ったときはそれぞれ,「H組・I組前半」,「I組後半・J組」を表すものとします.

まず,春学期の自分の時間割とその成績を紹介します.

1 ラテン語(初級)
S
デジタル基礎
A
2 物理情報数学B
D
物理情報数学A
S
体育実技(バスケットボール)
A
3 フランス語セミインテンシブ1
S
理工学基礎実験
S
世界の政治
S
フランス語セミインテンシブ1
S
総合教育セミナーI
A
4 電気回路同演習
A
理工学基礎実験
S
電磁気学同演習
A
5 英語3
S

普通の時間割ですかね.本当は総合教育科目を取らなくても良いのですが,興味が湧いて取ってしまいました. 特に言及するならば,言語で総合教育科目の枠を埋めるのがおすすめで,その理由は1年のときのベースがあるから,大きく苦労しないということでしょうか.このことはQ&Aコーナーで詳しく話します.

物理情報数学A

担当者 山本直樹教授
評価方法 期末試験
履修人数 121人
授業種別 必修
評語(筆者) S

複素関数微分積分について勉強します.Cauchy-Rieamann関係式や留数定理,Laurent展開にたどり着くことが目標です. 毎回教科書の演習問題が指示されて,その問題の類題が中間試験と期末試験に出題されます. 中間試験はありますが,評価に入らなかった気がします(要出典). 板書は少し読みづらく早いですが,丁寧な解説です.教科書の演習問題は裳華房のHPに詳しい解説が載っています.

物理情報数学B

担当者 前半: 内山孝憲教授
後半: 堀豊准教授
評価方法 課題・中間試験・期末試験
履修人数 前半: 58人
後半: 63人
計: 121人
授業種別 必修
評語(筆者) D

授業後に翌日までの課題が出されます.教科書は先生の手作りテキストです. 第2回までは1年次の線型代数の復習です.具体的には,行列を用いた連立方程式の解法(Gauss-Jordenの消去法)について扱います. 僕が最もきつかったのは線型空間の部分空間の話です.1年次と用いている言葉が異なり,理解に苦労しました. 全体として非常に高速に授業が展開されるので1年の焼き直しだろと言っていると単位を落とします.僕は落としました.2024年度履修の皆さん,一緒に頑張りましょう. 演習も試験も,計算ミスが命取りになるので丁寧にやりましょう.僕からの,僕へのメッセージです.

電気回路同演習

担当者 前半: 松本佳宣教授
後半: 塚田孝祐教授
評価方法 中間試験・期末試験
履修人数 116人
授業種別 必修
評語(筆者) A

重ねの理,Theveninの定理,Nortonの定理,フェーザ法など高校の物理で扱った回路の知識を超えた内容を扱います.評定の基準点が110点満点のうち,

得点 評語
$[90, 110)$ S
$[80, 90)$ A
$[70, 80)$ B
$[60, 70)$ C
$[0, 60)$ D

であり,Sを取るのがかなり大変ですが,単位の取得自体は易しいです.履修登録上は前半と後半に分かれますが,授業やテストは共通です.期末試験は持ち込み可ですが,別に持ち込み用紙がなくても大丈夫です.

電磁気学同演習

担当者 前半: 石榑崇明教授
後半: 海住英生教授
評価方法 授業内演習・宿題・中間試験(2回)・期末試験
履修人数 116人
授業種別 必修
評語(筆者) A

先生方がどれだけ落単者を出さないようにしているか,ひしひしと伝わってくる授業です.中間試験は2回あり,それぞれ追試があります(2023年度は第1回の追試は実施されていない).また,授業内で出される演習課題と全く同じ問題が宿題(任意提出)として課され,課題・演習点の上限の点数まで加算されます.また,期末試験ではMaxwellの方程式を書くだけで20点もらえる問題があるなど,非常に学生にとって優しいです.

授業内容は最初の3回でベクトル解析についての授業とGaussの発散定理やStokesの定理の物理的な導出を行います.そのあと,5回ぐらいをかけて,静電場の性質に親しみます.例えば,無限に長い導線が作る電場,球対称分布の電荷が作る電場,電気双極子などです.最後に静磁場や変動電磁場の話を扱います.1年次の物理学C,物理学Dが完璧なら全く困らないと思いますが,意外と身についていないものです.

理工学基礎実験

担当者 オムニバス形式
評価方法 出席・レポート
履修人数 -
授業種別 必修
評語(筆者) S

最も時間がかかる授業です.毎回やることが,

  1. テキストを読んで予習.
  2. ビデオを見て予習.
  3. 実験原理を書く.
  4. 実験手順を書く.
  5. 実験を行う.
  6. 実験手順の修正.
  7. 生データを加工してグラフや表の作成.
  8. 結果をまとめる.
  9. 文献を探す.
  10. 考察を書く.
  11. 結論を書く.

です.特に7のデータの加工にすごく時間がかかりました.おすすめは,$\text{\LaTeX}$+Pythonで書くことです.とくに,Pythonのコードは別の実験でも同じものが使いまわせたり,変更が簡単だったりしてとても便利です.使える人は必ず使いましょう.機会があれば,実験用のコードの解説記事でも書いてみようかと思っています.僕の$\mathbb{X}$(Twitter)で気を付けたことなどをまとめているので,良ければご覧になってください.多いときで30時間程度,少ないときでも8時間程度かかりました.とはいえ,僕はこの授業を通して実験が好きになり,自分の言葉を用いて結論を出すことを楽しいと思えるようになったので,真面目に取り組むことをお勧めします.Aは来るけれど,Sはなかなか来ない,としばしば噂を耳にします.

デジタル基礎

担当者 内山孝憲教授
評価方法 演習・期末
履修人数 72人
授業種別 選択必修
評語(筆者) A

計算機の基本的な仕組みを勉強します.例えば,ANDゲートとORゲート,NOTゲートを組み合わせて足し算を行う回路を作ったり(紙の上でですが,担当教員が論理回路シミュレータを配布います),目的の出力を得るための論理回路をCarnot図を用いて考えたりします.期末試験は紙ならなんでも持ち込み可です.2023年度はASCIIコードが分からないと解けない問題が出題されたので,1年の必修の情報学基礎の教科書を持ち込むことをお勧めします.噂によれば6割の人がSを取っているらしいです.毎回の演習点で差がつくのかもしれません.

オプティクス

履修してないのでわかりません.どなたか補足お願いします. 非常に楽らしいです.

授業各論(秋学期)

WIP

後で時間が出来たら書きます.いっぱい書きたいことがあります.

Q&Aコーナ

ここではマシュマロで募集した質問に回答します.物情に関することが来たら,随時更新します.

必修の2外は無かったと思いますが、なにか取っていましたか?また、取っていれば何故取りましたか?

春学期はフランス語セミインテンシブ1,秋学期はフランス語インテンシブ2を取っていました.理由は3つあります. 1つ目はフランス語が好きだからです.1年のときから初めて,すこしずつ実力をつけていくことが出来て,それが,話したり書けたり,また,仏検に合格するなど,わかりやすい形で結果が出るからです.

2つ目は他学科に行った友人がフランス語の勉強を続けていたからです.もちろん勉強は自分でやるものですが,一緒に頑張るというのも悪くないでしょう.話のネタにもなります.

3つ目は将来,フランス語圏へ留学することを考えているからです.特に,慶應の院のDouble Degree Programを考えていて,そのためにはフランス語力が必須だからです.まだ詳しくは考えていませんが,将来の選択肢として持っておきたいです.

4月から3年生となりますが矢上に行ってもフランス語をつづけようと思っています.

harryさん、こんにちは。英語を勉強してTOEICを受けようと思うのですが、物情生は少なくとも何点以上のスコアを取るべきだ(取ってほしい)と思いますか?

目指すものに依ると思いますが,物情生だからこれぐらいないといけないということはないと思います.例えば,3年の2Qで留学しようと考えている場合(ここで留学する人が最も多い),だいたいボーダーは650点から700点ぐらいだと聞いています.それよりもGPAが重視されるとのことです.つまり,英語のスコアは足切り程度にしか勘案されないということです.また,外部の大学院や慶應の大学院に進学するときにはTOEFLやIELTSのスコアのほうが重視され,TOEICはあまり使えないと聞いています.キャリアプランによって異なるので,明確に何点を取るべきかは示すことが出来ません.

フランス語2年取るとしたら、セミインテとインテどちらがおすすめですか?

まず,フランス語のインテンシブ系の科目を紹介します.3種類の授業が開講されていて,レベルの高い順にセミインテンシブ(荒金さん),インテンシブ(小野さん,M. Sintive),セミインテンシブ(小林さん)の授業があります.僕が取っていたのは春学期に荒金さんの授業,秋学期に小野さんの授業です.

荒金さんは予習に時間がかかりました.毎回該当するテキスト(2ページ程度)を読んできて,それに対する答えを考えてくるのですが,単語が難しく,毎回1時間程度かかりました.フランス語力がある人ならもっと簡単にできるのかもしれません.また,荒金さんの授業は履修人数が少なく,僕が取っていた春学期は8人,秋学期は3人でした.その分TAとよく話せるのでお勧めですが,予習は必須です.週2回の授業です.

小野さんの授業では毎週月曜日にDictéeの課題の提出があります.また,学期中に発表があります.たくさんフランス語でしゃべります.和気藹々とした雰囲気でした.

物情2年の選択必修のおすすめを教えてください!

学科ガイダンスでも示されると思いますが,自分が興味の持てる授業を取ると良いと思います.物情でできる研究は量子,物性,制御の3つがあるので,それぞれに繋がる分野授業を示してみます.

2年次だとこのような感じでしょうか.3つ注意をしておきます.まず,2年の選択必修全取りはそこまで大変ではありません.興味が定まっていない場合,色々取ってみることをお勧めします.次に,物性物理学は総合格闘技です.例えば,量子力学はもちろんのこと,統計力学や熱力学,古典電磁気学も必要になりますし,場合によっては相対論,位相幾何や微分形式の知識も必要になることがあります.物性物理を勉強したい場合,武器は多い方がよさそうです.3つ目は,実験系に進むことを考えているならば,計測工学はとっておいた方が,将来に繋がりそうです.実験系でやることは,目的の物質や系を「作って、測る」6ため,測定の原理や,測定誤差を小さくする方法論を身に着けておくべきだと思うからです.

B3での抱負を。

自分の専門性を一層磨くことでしょうか.そのために必要なことが3つあると思っています.それぞれ,近い未来(~1ヶ月),遠くない未来(~4ヶ月),遠い未来(~2年)のことです.

まず,勉強内容について.今は自分の知識が無さ過ぎるので,授業のほかに,下に挙げた本を用いて色々勉強しようと思っています.

2つ目に一緒に勉強をする友人を見つけることが必要だと思います.仲の良い友人が2Qぐらいから留学やサマーセッションに行くため,特に2Qで一緒に勉強する人が必要です.誰でも歓迎です.一緒にメディアに残って勉強しませんか?

3つ目に将来についてもっと深く考えることが必要だと思います.どこの院にいくのか,その後のキャリアはどうするのか,結婚はするのかなど,特に結婚については,もっと自分の人生について考えるべきだと思っています.

あとがき

初めて多くの人に読まれることを目的としたブログを書いてみました.ご意見・ご感想等ありましたら,$\mathbb{X}$でリプライを飛ばしていただければ幸いです.この記事は不定期に更新する予定です.

変更履歴

  • 2024年3月17日: ver. 1を投稿.
  • 同日: 名前の誤りを修正.

参考文献


  1. 慶應義塾大学理工学部https://www.st.keio.ac.jp/about/history.html,2023年3月13日閲覧.
  2. 慶應義塾大学塾生サイト,https://www.students.keio.ac.jp/hy/class/registration/files/h_rikou.pdf,2023年3月13日閲覧.
  3. 渡辺宙志先生講義「プログラミング基礎同演習」第9回コメント回答より引用.
  4. 履修案内によれば休講だそうです.2024年度初めて2年生になる人は履修できないようです.
  5. 慶應義塾大学塾生サイト,https://keio.box.com/s/ilikys9a77rzepbdr5ltf72gkhnetdse,2023年3月14日閲覧.
  6. 神原陽一,「塾員来訪第62回」,https://www.st.keio.ac.jp/departments/ob_relay/ob_0902.html,2023年3月17日閲覧.